ムコ多糖症の病気のタイプ

ムコ多糖症Ⅰ型
(重症型:ハーラー症候群、軽症型:シャイエ症候群、中間型:ハーラー・シャイエ症候群)1-3)

原因

ムコ多糖症Ⅰ型は、ライソゾームで働く酵素α-L-イズロニダーゼの欠損、またはその働きが弱いことにより、酵素が分解するはずのムコ多糖(デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸)が細胞の中にたまってしまい、さまざまな症状を生じる病気です。

あらわれる症状や発症時期などから、重症型(ハーラー症候群)、軽症型(シャイエ症候群)、中間型(ハーラー・シャイエ症候群)に分類されます。

主な症状

特徴的な顔つき(大きな頭、前額の突出、巨舌など)、低身長、肝脾腫(肝臓や脾臓が腫大してお腹がポッコリしている)、臍・鼠径ヘルニア、関節可動域の制限(関節の痛み、関節の動かしにくさ、指を伸ばせないなど)、骨の変形、心臓弁膜の異常、角膜混濁、繰り返す中耳炎、難聴など

ムコ多糖症Ⅰ型の主な症状

ムコ多糖症Ⅰ型の主な症状
※あらわれる症状や、その程度は、患者さんごとに異なります。

重症度別の特徴

重症型(ハーラー症候群)

生後6カ月から2歳ごろまでに発症し、病気の進行も速いタイプです。出生直後から体全体に広がる蒙古斑がみられることが多くあります。ムコ多糖症Ⅰ型の主な症状以外に、知的な発達の遅れがみられます。

軽症型(シャイエ症候群)

5歳以降に発症することが多く、病気は年齢とともに進行しますが、進行速度は緩やかなタイプです。
知的な発達の遅れはみられません。

中間型(ハーラー・シャイエ症候群)

重症型と軽症型の中間の症状を示します。

文献

  1. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.xiii.
  2. 奥山虎之. ムコ多糖症Ⅰ型. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.102-105.
  3. 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班(研究代表者 衞藤義勝)編. 診断の手引きに準拠したムコ多糖症診療マニュアル. 診断と治療社; 2016. p.18-20.