ムコ多糖症の治療

ムコ多糖症の治療

ムコ多糖症の治療には、たまっているムコ多糖を分解して症状の改善を図る酵素補充療法、造血幹細胞移植と、さまざまな症状に対する対症療法があります。

酵素補充療法

ライソゾームの中で働く酵素を体外から点滴などで補う治療法です。体外から投与された酵素が細胞の中に運ばれて、たまっているムコ多糖を分解することによって症状を改善します。

日本国内で酵素補充療法の薬剤が承認されており、治療することができるムコ多糖症の病気のタイプはムコ多糖症Ⅰ型、Ⅱ型、ⅣA型、Ⅵ型です(2021年5月現在)。

ムコ多糖症には、ムコ多糖が脳などの中枢神経にたまって、知的な発達の遅れ、行動の異常、睡眠障害、けいれん発作などの症状があらわれるタイプや型があります。

脳に酵素を届けるためには血液脳関門という脳の仕組みを通過する必要があります。近年、ムコ多糖症Ⅱ型では、直接脳室内へ投与する薬剤や、血液脳関門を通過することのできる技術を用いた薬剤が承認され、脳などの中枢神経の症状に対する治療が可能になりました。

用語解説

血液脳関門

脳には血液脳関門と呼ばれる、脳に必要な物質以外の異物が脳内に簡単に入らないようにする仕組みがあります。

酸素や栄養分などの必要な物質は脳の毛細血管から脳内に取り込まれますが、細菌や化学物質は取り込まれないようにして、脳を守っています。

薬などの物質は通常は血液脳関門を通過することはできませんが、近年、血液脳関門を通過させる技術も利用されるようになっています。