ムコ多糖症とは? 疾患の概要

ムコ多糖症の原因と遺伝について

遺伝子の変化が原因

ライソゾームの中で働く酵素は、タンパク質でつくられています。タンパク質を体の中でつくるための設計図となるのが、遺伝子です。

遺伝子が本来の遺伝子から変化してしまうことを、変異といいます。変異した遺伝子をもつことによって、酵素をつくることができなかったり、働きの弱い酵素ができたりしてしまうことが、ムコ多糖症の原因です。

ムコ多糖症は、変異した遺伝子が親から子に伝わることによって起こる、遺伝性の病気です。

遺伝にはいくつかの形式があります。ムコ多糖症の場合は、常染色体潜性遺伝によるタイプと、X染色体潜性遺伝のタイプの、二つのタイプがあります。

用語解説

遺伝子

細胞の核の中には、22対(44本)の常染色体と、1対(2本)の性染色体、合わせて23対(46本)の染色体があります。

染色体は二重らせん構造のDNAで構成されていて、DNAの上のタンパク質をつくる情報をもった一部分を、遺伝子といいます。


タンパク質ができるまで
常染色体潜性遺伝
常染色体上に、父親と母親の両方が変異のある遺伝子をもち、子に伝わった遺伝子の両方に変異がある場合に、発症します。
X染色体潜性遺伝

性染色体のうち、X染色体上に変異した遺伝子のある場合に発症します。発症の仕方は、男性と女性とで異なります。

男性(性染色体はXY):X染色体上に変異のある遺伝子をもつ場合、必ず発症します。
女性(性染色体はXX):2本あるX染色体のどちらかに変異のある遺伝子をもつ場合、症状があらわれない「保因者」となります。

ごくまれに、症状があらわれて発症する方もいます。