ムコ多糖症の病気のタイプ

ムコ多糖症Ⅳ型、Ⅵ型、Ⅶ型

■ ムコ多糖症Ⅳ型(モルキオ症候群)1-4)

原因

モルキオ症候群とも呼ばれるムコ多糖症Ⅳ型は、ライソゾームで働く酵素の欠損、またはその働きが弱いことにより、酵素が分解するはずのムコ多糖(コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸)が細胞の中にたまってしまい、さまざまな症状を生じる病気です。

欠損している酵素の種類により、A型とB型に分類されます。

A型:N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼが欠損
B型:β-ガラクトシダーゼが欠損

あらわれる症状や発症時期などから、新生児型重症型、軽症型、中間型に分類されます。

主な症状

骨格異常(首・胴が短く低身長、鳩胸、背骨の変形、X脚など)、歯の異常(歯が小さく、隙間が広い、虫歯)、難聴、呼吸障害(巨舌、胸の骨の変形による気道の障害、睡眠時無呼吸、いびきなど)、角膜混濁、心臓弁膜の異常など

※あらわれる症状や、その程度は、患者さんごとに異なります。

■ ムコ多糖症Ⅵ型(マロトー・ラミー症候群)5-7)

原因

マロトー・ラミー症候群とも呼ばれるムコ多糖症Ⅵ型は、ライソゾームで働く酵素N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼの欠損、またはその働きが弱いことにより、酵素が分解するはずのムコ多糖(デルマタン硫酸)が細胞の中にたまってしまい、さまざまな症状を生じる病気です。

あらわれる症状や発症時期などから、重症型、軽症型、中間型に分類されます。

主な症状

骨の変形、関節の動かしにくさ、低身長、特徴的な顔つき、臍・鼠径ヘルニア、肝脾腫、角膜混濁、難聴、呼吸器障害、心臓弁膜の異常、手根管症候群など

ムコ多糖症Ⅰ型重症型に似ている症状がみられますが、知的な発達の遅れはみられません。

※あらわれる症状や、その程度は、患者さんごとに異なります。

■ ムコ多糖症Ⅶ型(スライ症候群)8-10)

原因

スライ症候群とも呼ばれるムコ多糖症Ⅶ型は、ライソゾームで働く酵素β-グルクロニダーゼの欠損、またはその働きが弱いことにより、β-グルクロニダーゼが分解するはずのムコ多糖(デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸)が細胞の中にたまってしまい、さまざまな症状を生じる病気です。

あらわれる症状や発症時期などから、新生児型、重症型、軽症型に分類されます。

主な症状

胎児水腫、骨の変形、関節の動かしにくさ、低身長、肝脾腫、心臓弁膜の異常、角膜混濁、知的な発達の遅れなど

※あらわれる症状や、その程度は、患者さんごとに異なります。

文献

  1. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.xvi.
  2. 戸松俊治ほか. ムコ多糖症ⅣA型. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.119-130.
  3. 鈴木義之. ムコ多糖症ⅣB型. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.131-137.
  4. 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班(研究代表者 衞藤義勝)編. 診断の手引きに準拠したムコ多糖症診療マニュアル. 診断と治療社; 2016. p.24-26.
  5. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.xvii.
  6. 田中あけみ. ムコ多糖症Ⅵ型. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.138-140.
  7. 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班(研究代表者 衞藤義勝)編. 診断の手引きに準拠したムコ多糖症診療マニュアル. 診断と治療社; 2016. p.26-28.
  8. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.xviii.
  9. 折居恒治. ムコ多糖症Ⅶ型. 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.141-145.
  10. 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班(研究代表者 衞藤義勝)編. 診断の手引きに準拠したムコ多糖症診療マニュアル. 診断と治療社; 2016. p.28-30.