ムコ多糖症Ⅱ型
(ハンター症候群)1-3)
原因
ハンター症候群とも呼ばれるムコ多糖症Ⅱ型は、ライソゾームで働く酵素イズロン酸-2-スルファターゼの欠損、またはその働きが弱いことにより、酵素が分解するはずのムコ多糖(デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸)が細胞の中にたまってしまい、さまざまな症状を生じる病気です。
あらわれる症状や発症時期などから、重症型と軽症型に分類されます。
主な症状
乳児期:体全体に広がる蒙古斑、繰り返す中耳炎、臍・鼠径ヘルニアなど
幼児期:特徴的な顔つき(大きな頭、前額の突出、巨舌など)、関節可動域の制限(関節の痛み、関節の動かしにくさ、指を伸ばせないなど)、心臓弁膜の異常、繰り返す中耳炎、難聴など
学童~思春期:身長の伸びが鈍くなる、呼吸障害、嚥下障害など
成人期:肝腫大(肝臓が腫れる)、心臓弁膜の異常、気道が狭くなる、呼吸困難、難聴、関節の動かしにくさなどの進行
ムコ多糖症Ⅱ型の主な症状
※あらわれる症状や、その程度は、患者さんごとに異なります。
重症度別の特徴
■ 重症型
乳幼児期から言葉の発達の遅れなどの知的な発達の遅れがみられることが多くあります。
成人期にかけて症状が徐々に進行し、神経や呼吸器などに重度の症状があらわれます。
■ 軽症型
知的な発達の遅れはみられず、幼児期に関節の症状などが初発症状になることが多くあります。症状は緩やかに進行します。
文献
- 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.xiv.
- 鈴木康之. ムコ多糖症Ⅱ型(Hunter病). 折居忠夫ほか編. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス; 2011. p.106-110.
- 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班(研究代表者 衞藤義勝)編. 診断の手引きに準拠したムコ多糖症診療マニュアル. 診断と治療社; 2016. p.20-22.